家族への株譲渡で知って得する税金に関すること

節税のポイント

身内に経営権を承継する場合は株式譲渡を行う必要があります。株式譲渡を行うにはさまざまな方法があり、会社の状態やタイミング、譲渡先しようと思っている相手によって適した方法は異なります。

この記事では、家族への株式譲渡はどのように行うのかというテーマを中心に、3つの方法と発生する税金などについて詳しく解説していきます。

家族への株式譲渡とは

家族への株式譲渡は、会社の経営権を移動する事業承継として行われるのが一般的です。後継者に株式を譲渡することで、経営者は経営から退くことができ、その後の会社経営は後継者に引き継がれます。

一般的に非上場企業の場合は、ほぼ全ての株式を経営者が保有しています。これは株式が散失し経営に影響が出るのを防ぐためです。そのため、経営権を承継する後継者はただ株式の譲渡を受けるだけではなく、安定した経営体制を整えていくことが大切です。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、会社を売却する側のオーナーが保有している株式を、購入する側のオーナーに譲り渡すことで、会社の経営を承継することを指します。

株式には上場株式と非上場株式があり、上場株式は株式市場で誰でも自由に取引できるという特徴を持ち、売却、相続、譲渡での譲渡が可能です。

一方で、非上場株式は市場に出回っていないため誰でも自由に取引できるものではありません。そもそも非上場株は売買することを目的としておらず、会社の経営権を保持するために経営者が保有していケースが多いといえます。

つまり、非上場企業の株式譲渡は事業承継を主な目的としています。

家族への株式譲渡は贈与が一般的?

家族間や親族間の株式譲渡は、贈与により行われることが一般的です。身内で株式譲渡を行う場合の多くが、家族で経営していた会社の事業承継によるものです。

一方で、M&Aや事業売却を親族とは関係のない第三者と行う場合は、売却の形式で行われることが一般的です。

このように譲渡先によって譲渡の手段は変わってくるといえます。

非上場株式も親族間で譲渡できる?

経済産業省によると、日本の企業数は約421万社であり、日本の取引所グループによると、上場している企業は3,823社あるといわれています。(2021年12月27日現在)この数字からみると、上場企業は全体の約0.09%であり、日本企業のほとんどが非上場企業です。

上場していない企業の株式は、株式市場で自由な売買をすることができませんが、株式譲渡を行うことは可能です。

特に家族経営の中小企業などは、事業承継をするためにも親族へ株式譲渡を行う必要があります。

家族に株式を譲渡する方法

家族間で株式を譲渡する場合にはどのような方法があるのでしょうか。主な方法は以下の3つです。

  • 相続による譲渡
  • 贈与による譲渡
  • 売買による譲渡

順番に解説していきます。

相続による譲渡

まずは相続という形で株式譲渡を行う方法です。相続による株式譲渡は亡くなった経営者の遺言によって、親族の誰かに株式が譲渡されます。基本的には遺言書によって贈与の形式で譲渡を行うので「遺贈」とも呼ばれます。

相続による株式譲渡を行うには遺言書の作成が必須となります。経営者は遺言書を作成しておくことで、あらかじめ譲渡する相手、株式の割合を指定することができるので、被相続人の相続トラブルを防ぐことができます。

ただし、遺言書は法令で定められている形式で作成できていなければ、無効扱いになるので注意が必要でしょう。

贈与による譲渡

続いては贈与による株式譲渡です。ここでの贈与は生前における贈与を指します。生前贈与による株式譲渡では、譲渡先の後継者に対価を支払わせることなく、一方的に株式を譲り渡すという特徴があり、譲渡される側も株式を購入する資金を工面する必要がありません。

また、生前贈与であれば相続の場合よりも経営者の希望を反映することができるので、譲渡がスムーズに完了しやすくなります。経営者としても後継者としても譲渡における精神的負担が軽くなるといえるでしょう。

さらに、生前贈与による株式譲渡を行うことにより、相続対象の財産を減らすことができ、相続税対策にもなります。株式の価値が上がる前に贈与を済ませておけば、相続による株式譲渡を行う場合よりも、課税対象となる金額を抑えることができるので、後継者の税負担は軽くなります。

ただし、贈与をしてから3年以内に経営者が亡くなってしまった場合は、相続扱いになってしまうため、節税に失敗する可能性もあるでしょう。

売買による譲渡

3つ目は売買による譲渡です。

売買による譲渡は、株式を売却という形で譲渡し、その代わりに対価を譲渡先からもらうことで成立します。親族以外の第三者との間で株式譲渡を行う場合は、売買形式が用いられることが一般的ですが、親族間での株式譲渡を売買形式で行うケースもあります。

売買による株式譲渡を行う場合は、後継者にそれなりの資金力が求められることになるでしょう。そのため、親族への株式譲渡で売買形式を考えている場合は、譲渡先としてふさわしい資金を後継者が持ち合わせているように経営者は準備しておくべきだといえます。

例えば、他の候補者と差別化するために次の経営者候補には役員報酬を多めに与えておくなどです。

このように売買による株式譲渡を行うと決めていれば、経営者の意向に合わせた準備を進めておくことができるので、いざ譲渡をするタイミングになっても不要なトラブルを避けることができるでしょう。

家族に株式譲渡する際にかかる税金

家族に株式譲渡を行う際に忘れてはいけないのが税金についてです。ここまで株式譲渡の方法を3つ紹介しましたが、それぞれの方法によってかかる税金の種類や金額は変わってきます。税金を抑える方法も合わせて確認しておきましょう。

相続税

相続による株式譲渡を行った場合は、相続した金額に対して相続税が発生します。相続税は譲渡を受けた後継者に課せられる税金です。相続税は相続した金額が高くなればなるほど税率も高くなる累進課税制度が採用されています。

また、相続税には基礎控除が設けられており計算式は以下の通りです。

相続税基礎控除額=3,000万+法定相続人の数×600万円

ただし基礎控除は相続税の対象となる金額の合計額に適用されるため、株式だけではなく預貯金や不動産などを全て足した合計額からの控除となります。

相続税を少しでも抑えたい場合は、生前に財産の一部を贈与したり、評価額が現金の場合よりも抑えられる不動産に財産を変えておくなどの対策が効果的です。

贈与税

生前贈与による株式譲渡を行った場合は贈与税が課せられます。贈与税は、1月1日から12月31日の1年間で贈与された資産額をもとに算出され、贈与税も相続税と同様に累進課税制がとられています。

贈与税の1年間における基礎控除額は110万円であり、これを贈与した金額から差し引いた金額が贈与税の対象額となります。つまり、年に110万円以下の贈与であれば非課税となり、贈与税は発生しません。

また、贈与は経営者の好きなタイミングで譲渡が可能なので、株式価値の低いときに行えば、贈与税を抑えることができるでしょう。

みなし贈与に注意

家族間で売買による株式譲渡をする場合に、譲渡する側が適正価格から著しく低い金額で株式を売却することがあります。

通常、株式の売買を行った際には売却した側に譲渡所得税が課せられるだけで、購入側には税金が課せられません。しかし、適正価格より著しく低い金額で株式を売却した場合は、適正価格と購入価格の差益分をみなし贈与と判断される可能性があり、通常ならかからない部分に高税率の贈与税が課せられることがあります。

特に親から子へ低価格で株式売却する場合は注意が必要です。

住民税・所得税

株式譲渡を売買形式で行った場合、売却した側に譲渡益課税が発生します。譲渡益課税には所得税、復興特別所得税、住民税が含まれます。

これは株式を売却したことにより得られた純粋な利益に対して課税されます。この利益の金額に対し15%の所得税、0.315%の復興所得税、5%の住民税が課せられます。

家族間での株式譲渡では身内という理由から、適正金額よりも低い金額で株式を売却する場合がありますが、著しく低い場合はみなし贈与と判断されてしまうため注意しましょう。

家族への株式譲渡には相続、生前贈与、売買という方法があります。企業によって最適な方法は異なります。具体的に株式の譲渡による事業承継を考えている場合は、専門のアドバイザーに聞くのがおすすめです。

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