株の贈与税はいくら?計算方法や節税、注意点などを詳しく解説

贈与税申告書

株に関わらず自動車や現金などの財産を贈与した場合は、贈与された側に贈与税が課せられます。

贈与税率は最大で55%であり、これに該当する場合は贈与した財産のおよそ半分を贈与税として納めなくてはいけないのです。特に株式の場合は、評価額が非常に高額になる場合も多く、贈与税の計算方法を知らないまま、贈与してしまうと大損をする可能性もあるでしょう。

この記事では、株の贈与税がいくらかかるのかを求めるために必要な基礎知識を始め、株の贈与税を節税する方法などを解説していきます。

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株の贈与税はいくらかかる?

株の贈与税は、贈与した株の評価額を基に算出します。また、誰から誰に、どれくらいの金額に相当する株を贈与したかによって、税率は変動するので、正確に贈与税を計算できるように計算の仕組みを理解しておく必要があるでしょう。

株式贈与とは

株式贈与とは保有している株式を他人に譲渡する方法の1つです。売却という形で株式を譲渡した場合は、譲渡した株式の価値に相当した対価が支払われますが、贈与は無償で譲渡することを指します。

株を贈与された人は贈与税が課せられることになりますが、贈与した株の評価額が110万円以下の場合は、基礎控除内となり贈与税が発生しません。

また、生前贈与であれば贈与する側の意思を反映することができます。相続で株を譲渡する場合は、遺書がなければ贈与者の意思を反映することはできません。そのため、事業承継として株を譲渡する場合には贈与の手段がとられるケースが多いでしょう。

株の評価額はどのように決まる?

株式贈与にともなう贈与税を支払うためには、贈与された株の評価額を算出する必要があります。株式の評価方法は上場株と非上場株で異なります。

上場株式の評価額を算出する方法

上場株式の評価額は、その株式が上場している取引市場が公表する課税時期の株価に基づいて決定します。

  • 課税時期の月の毎日の終値平均
  • 課税時期の月の前月の毎日の終値平均
  • 課税時期の月の前々月の毎日の終値平均

これら3つの中で最も低い値によって評価が行われます。

非上場株式の評価額を算出する方法

非上場株式は市場での取引が行われていないため、評価額を求めるのが上場株式に比べると難しいといえます。

非上場株式の贈与が同族内で行われる場合は原則的評価方式で評価を行い、同族外で行われる場合は、特例的評価方式で評価が行われます。

ただしこれらの評価方法は非常に難解なので、国税庁のホームページ相続税の記事を参考にすると良いでしょう。

株の贈与税を計算する方法

贈与にて株式を受け取った人は評価額に基づいた「贈与税」を納める必要があります。一般的に贈与税は暦年課税制度に基づいて課税額が決まります。

暦年課税制度とは、1月1日から12月31日の間に贈与された価額の合計から、基礎控除の110万円を差し引いた金額に対して課税される制度です。

贈与税率はこの対象金額と、誰から誰に贈与が行われたかによって変動するので注意が必要です。贈与税がいくらになるかは以下の早見表を参考にしてください。 

◆特例贈与の場合

特例贈与とは直系尊属間での贈与を指します。具体的には祖父母や父母から、20歳以上の子や孫への贈与のことです。

特例税率の早見表
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超3,000万円以下 45% 190万円
3,000万円超4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

(国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」をもとに作成)

◆一般贈与の場合

一般贈与とは直系尊属以外での贈与を指します。具体的には配偶者や兄弟姉妹からの贈与などが該当します。

一般税率の早見表
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
200万円超300万円以下 15% 10万円
300万円超400万円以下 20% 25万円
400万円超600万円以下 30% 65万円
600万円超1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

(国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」をもとに作成)

株の贈与税を抑えるポイント

贈与を受けた株式の評価額が高くなればなるほど、課せられる贈与税は高額になります。贈与税を節税する方法を知っているのといないのとでは、納める金額に大きな差が生まれるでしょう。

基礎控除内で生前贈与をする

先に述べましたが、年間で贈与した価額の合計が110万円以下であれば基礎控除内での贈与になるので、贈与税を支払う必要はありません。また申告も不要となります。

そのため、株を小分けにして贈与額を年間110万円以内になるよう調整すれば、贈与税の節税につながります。 

相続時精算課税制度を活用する

相続時精算課税制度を活用すれば、贈与した財産の合計に対し最大2,500万円の特別控除が受けられます。2,500万円を超えた部分には20%の課税が発生しますが、2,500万円までの財産を贈与税なしで渡すことができます。

ただし、これはあくまで課税時期を相続時まで先送りしているだけであり、この制度を利用して贈与した財産に対してそれに相当する相続税が相続時に課せられます。

また、一度相続時精算課税制度を利用すると暦年課税制度に戻すことはできないので注意が必要です。

株式の価値を下げる

自社株を贈与する場合は、株式の価値をできるだけ下げて贈与することで評価額が下がり、結果的に支払う贈与税額を抑えることができます。

具体的には、配当金、 利益、純資産を減少させることで自社株の評価を下げることができるでしょう。 

株式を贈与する際の注意点

株式の贈与をする際に、注意しなくてはいけない点がいくつかあります。ここからは代表的な注意点を3つ紹介していきます。

贈与から3年以内に相続する場合は相続税がかかる

暦年贈与で贈与を行えば、原則贈与税が課されるのみで相続税が発生することはありません。しかし、贈与を受けた日より3年以内に贈与した人が亡くなってしまうと、その日以降の贈与は生前贈与とみなされず、相続財産に追加されてしまいます。

これは贈与者が亡くなる寸前での「相続税逃れ」を防止するために設けられているルールです。

ただし贈与税を既に払っている場合は、二重課税を防ぐため支払った贈与税額を相続税から控除することができます。

定期贈与とみなされることがある

定期贈与とは一定期間に一定金額の贈与を行うことです。

暦年贈与であれば毎年110万円の基礎控除がありますが、定期贈与とみなされた場合、はじめから全ての財産を贈与する意思があったものとされ、贈与額の合計に対して贈与税が課せられてしまいます。

これを防ぐためには、毎年違う時期に、違う金額を贈与したり、「定期金の贈与」とみなされないために都度、贈与契約書を作成すると良いでしょう。 

自社株の贈与をすると経営権が承継される

オーナー経営者の場合は、自社株の大部分を所有しているケースが一般的であり、 株式を次の世代に譲り渡すことで経営権を承継できます。

そのため、株式をどれくらいの期間でどれくらいの割合を渡すかを慎重に検討する必要があります。生前贈与であれば、後継者の成長に合わせて少しずつ贈与するのか、社長交代時に一括で贈与するのかなどをコントロールできるでしょう。

自社株を贈与することにより、経営権が承継される場合は、節税だけでなく経営目線で贈与を進めていく必要があるといえるでしょう。 


今回は、株の贈与税について解説してきました。株の贈与をうまく行えば、多額の贈与税を節税することができます。ただし、贈与から3年以内に贈与者が亡くなった場合や、定期贈与とみなされた場合には、本来なら払う必要のなかった税金を払わなくてはいけなくなるので、注意が必要だといえるでしょう。

また、自社株を贈与する場合は、株を渡すのと同時に経営権も渡すことになるので、慎重に進めていく必要があります。事業承継については専門的な知識が必要であり、一人でやろうとすると失敗する可能性が高いので、専門のM&Aアドバイザーに相談することをおすすめします。

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