不動産仲介業の市場規模。今後業界に影響を与える要因は?

不動産仲介業は不動産の売り手と買い手、借り手と貸し手の取引を仲介することによって、報酬として手数料を徴収する事業を指します。

不動産仲介業は大きく売買仲介と賃貸仲介に分けられます。また、取引する不動産は住宅用不動産と事業用不動産があります。

この記事では、不動産仲介業の市場規模を始め、不動産仲介業の現状と今後に触れながら詳しく解説していきます。

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不動産仲介の市場規模

財務省の発表によると、不動産業界の市場規模はおよそ44兆円であり、ほかの市場と比較しても市場規模が大きな業界だといえます。

不動産仲介業は不動産業のなかでも不動産取引業に分類され、不動産業のおよそ半分の市場規模をもっています。

ここでは、不動産仲介の市場規模を、取引金額・業者数・仲介件数から見ていきます。

不動産仲介の取引金額

不動産仲介業の取引金額はどれくらいなのでしょうか。

不動産業の市場規模

(出典:REANJAPAN「~REANJAPANMarketReport~」)

上の表を見ると、2018年における不動産代理業・仲介業の売上金額は約4.4兆円であり、不動産業全体の12.5%に相当します。

不動産代理業・仲介業には、分譲販売の代理、中古住宅の売買仲介、賃貸仲介などが含まれています。

分類別に見ると、建物・土地売買業、不動産賃貸業、貸家・貸問業についで4番目に大きくなっています。

不動産仲介の事業者数

不動産仲介業を営むには、国土交通省から大臣免許もしくは各都道府県から知事免許を交付される必要があり、これらの免許を取得することで、宅地建物取引業者として不動産取引をおこなうことが認められます。

宅地建物取引業者数は以下のとおりです。

宅建業者数の推移

(出典:国土交通省「~令和元年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について~」)

令和元年度における宅地建物取引業者数は125,638業者です。

この数値には個人で免許を取得している事業者も含まれており、法人だけだと110,437の事業者が存在しています。

また、過去20年間における宅地建物取引業者数の推移は以下の通りです。

(出典:国土交通省「~令和元年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について~」)

平成12年度から平成25年度まで事業者の数は減少し続け、平成25年度から令和元年度にかけて微増はしているものの、20年前と比べるとおよそ1.5万の事業者が減っていることがわかります。

また、不動産流通推進センターの資料によると、不動産代理業・仲介業を本業としている事業所数は平成28年6月1日時点で46,691です。

不動産仲介件数の推移

不動産の仲介は売買仲介と賃貸仲介に分類できます。

まず、売買仲介の件数です。

不動産流通推進センターの資料によると、売り物件成約報告件数のうち、仲介でおこなわれた取引件数は以下のとおりです。

媒介契約の種類

平成28年

平成29年

平成30年

平成31年・令和元年

令和2年

専属専任媒介

52,077

51,009

48,201

44,160

35,665

専任媒介

75,826

78,041

82,162

88,353

89,852

一般媒介

24,441

24,045

23,350

23,507

24,339

(参照:公益財団法人不動産流通推進センター「2021不動産業統計集」をもとに作成)

上の表を見ると、専任媒介契約での仲介が最も多く、一般媒介契約での仲介が少ないことがわかります。

また、専属専任媒介契約の取引件数は平成28年から令和2年にかけて減少傾向にある一方で、専任媒介契約の取引件数は増加しています。

次に賃貸仲介の取引件数です。

(出典:株式会社矢野経済研究所「2019年版不動産仲介市場の将来展望と事業戦略」のプレスリリースより

株式会社矢野経済研究所の調査によると、2018年度における居住用住宅の賃貸仲介件数はおよそ195万件であることがわかります。

2013年から微減の傾向にありますが大きな変動は見られません。

不動産仲介はなくなる?不動産仲介業の役割

AIの発達や個人間売買の流行から不動産仲介という業種がなくなるのではと考える人もいるかもしれません。

結論からいうと不動産仲介業がなくなることはないでしょう。

ここからは、不動産仲介業がなくならないといえる理由について紹介していきます。

AIは不動産仲介業の一部しか担えない

近年、事務などの単純作業は、将来AIに取って代わられるといわれています。

不動産仲介の業務のなかでも、物件の抽出や契約書の作成などの作業は、今後AI技術によりまかなえるかもしれません。

ただし、それは不動産仲介の業務のほんの一部であり、不動産仲介において最も重要な、人間の感情にかかわる業務についてはAIに任せることはできないでしょう。

不動産売買や賃貸の取引は、個人のライフスタイルや希望が大きな影響を与えます。

例えば、お客様の家庭環境や仕事などの要因は、不動産の売買や賃貸において、最も重要な項目であり、仲介業者はお客様のニーズを満たしながら包括的にサポートをおこなう必要があります。

売主と買主の間でお互いの希望を踏まえつつ、条件がまとまらない時は折衷案を出しながら、双方が満足できるように進めるのが不動産仲介業者の役割です。

これらを人ではなくAIが担うのには無理があるので、不動産仲介業がなくなるのは考えにくいでしょう。

不動産取引は不動産仲介業者に任せるのが最もスムーズ

仲介業者を介さず不動産の取引をすることは、法律上問題ありません。

ただし、必要書類の作成や契約の手続きなど個人で進めるのは、非常に難易度が高いといえます。

また、不動産の買い手や借り手を見つけるのも仲介業者の業務であり、個人で集客するのは難しいといえるでしょう。

このように、不動産取引をする際は、取引に特化した仲介業者に依頼するのが一番楽なのです。

仲介業者の選び方については「不動産売却はどこがいいの?不動産会社の選び方と売却方法の解説」にて解説をしています。

不動産取引以外のサービスを提供できる

入居時は、不動産の契約以外にもさまざまな契約をする必要があります。

最近では物件の取引だけではなく、提携している他のサービスを同時に案内するケースが増えています。

例えば、建物の瑕疵があった場合の保証やインターネット無料物件などがそれに該当します。

物件の契約時に、他の契約もあわせて申し込めれば、入居者が個別に対応する必要がなく手間がかかりません。

不動産取引は、入居者にとって新生活の起点であり、不動産仲介業では新生活に付帯するサービスを提供できることから、入居者から一定のニーズを得られるといえるでしょう。

不動産仲介業の今後に影響を与える要因

不動産仲介業自体がなくなる可能性は極めて低いといえますが、今後、不動産仲介業のかたちは多少なりとも変わっていく可能性があります。

ここからは今後の不動産仲介業に影響を与える可能性がある要因について3つ紹介します。

個人間売買の可能性

親族間や友人、知人の間で直接不動産の売買をすることを個人間売買といいます。

宅建業法的には個人間売買をすることは可能であり、仲介業者に仲介手数料を払わなくてよいなどのメリットがあります。

個人間売買をおこなう場合、不動産仲介会社は不要です。

しかし個人間売買は、契約書を自分で作成したり瑕疵担保責任に関するリスクなどを抱えたりする必要があるため、今後、普及するとは考えにくいでしょう。

なお、仲介手数料についての詳細は「仲介手数料の仕組みとは|計算方法や値引きの可否について解説」を参考にしてください。

エージェント制の台頭

日本では不動産仲介のほとんどは、法人の不動産仲介業者がおこないますが、アメリカではエージェントと呼ばれる資格を持つ個人が仲介を受け持つケースが多いです。

エージェントは完全に個人で活動しているわけではなく、ブローカーと呼ばれる事務所を持つ不動産会社と契約しています。

ただし、基本給などがあるわけではなく成功報酬型の報酬体系であり、営業にかかったコストも全て自分で負担します。

アメリカの不動産取引では、会社ではなく担当者個人が重視されており、エージェントは全員有資格者なので取引の専門性や公平性が担保されています。

日本でもフルコミッションで不動産会社に所属している人や、社長一人で営業している不動産会社など、アメリカのエージェントに似た働き方で活躍している人は多いといえるでしょう。

また、日本でもエージェント制を採用しているサービスなども出てきており、今後エージェント制の不動産取引が、普及していく可能性もあるでしょう。

後継者不足による事業承継

株式会社帝国データバンクの調査によると、不動産業の後継者不在率は約62%であり、半数以上の不動産会社が後継者が見つかっていない状態です。

(出典:株式会社帝国データバンク「全国社長年齢分析(2019年)」)

また、上の表を見ると、不動産業の社長の平均年齢は61.7歳と、全業種の中で最も高い数値になっています。

不動産業界は新たに参入する会社も多いですが、廃業する会社も多いのが現実です。

そのため、事業承継によって経営を存続させる不動産会社が増えています。

M&Aキャピタルパートナーズ社によると不動産業界でのM&Aは2018年では208件行われ、過去最高の件数になっているとのことです。

事業承継をおこなうことで廃業することなく、所有している不動産などの有形資産や、ノウハウや顧客などの無形資産も引き継ぐことができます。

ただし事業承継には、あらゆる分野の専門知識が必要なので、当事者だけで行うのは難易度が高いでしょう。

そのため、事業承継を考えている方は専門のM&Aアドバイザーに相談しながら進めることをおすすめします。

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